こんにちは。
シャケナベイベーナウ管理人です。
鮭って、川で生まれて、海に出て、また川に戻って産卵して…という一生を送りますよね。
いわゆる「母川回帰(ぼせんかいき)」というヤツです。
小さい頃は、このサケが川に戻ってくるのがとても不思議でした。
「自分の川の匂いを覚える」とか言われてますよね。
サケが川に戻るのは、単なる習性というワケではなく、進化的に最も繁殖成功率が高い戦略(回帰行動)らしいです。
今日は、そんなネタを書こうと思います。
なぜ“同じ川”に戻るのか(進化的合理性)
なぜ同じ川に戻ってくるのかというと、川には、外敵(大型魚、海獣)が少なく、卵や稚魚の生前率が高い。つまり、安全性が高いことが理由のひとつ。もうひとつは、親が育った環境でもあることから、自分の育った水質、水温に最適化されている。つまり、環境に適応済みであることから、子孫も適応しやすいからと言われています。
結果、“同じ場所に戻る個体”が生き残りやすく進化的に固定されたと言われています。
ただ、サケの仲間でもアウトローなヤツはいて、海に降りずに、一生を淡水域(湖や河川)で過ごすヤツらなんかもいます。(ちなみに、シャケナベイベーの元となっているシロザケには陸封型はいません。なぜ、いないかは、別の機会に)
代表的な例は、ベニザケの陸封型である「ヒメマス(姫鱒)」で、降海型に比べると小ぶりで、淡水環境に適応して生涯を終えます。
なお、千歳市にある支笏湖には、このヒメマスが生息していて、「チップ」と呼ばれています。夏場(6月から8月)だけ漁期があり、釣ることも出来るんですが、まぁ、滅多に釣れない希少な存在です。
主な鮭の陸封型と対応する降海型
- ベニザケ:ヒメマス
- サクラマス:ヤマメ
- アマゴ:サツキマス
- ニジマス:スチールヘッド
どうやって戻るのか(ナビゲーション機構)
ここが最も重要なポイントなんですが、稚魚の時に川の匂いを記憶し、成魚になるとその匂いを頼りに俎上を行うといった、いわゆる嗅覚(におい記憶)があると言われています。もちろん、間違って違う川に行っちゃう鮭もいるらしい。
一般的に、90%以上のサケは自分の生まれた川に戻りますが、数%〜10%程度の個体は「迷子」になり、近隣の違う川へ入ることがあり、とある北海道の調査では、他の川から迷い込む割合は平均0.24%程度というデータもあります。
ただ、違う川に行くってことは、単なる失敗ではなく、生物学的に重要な意味があって、同じ川にしか戻らなければ、その川が干上がったり崩れたりした際に、その一族は絶滅してしちゃうので、違う川へ行く個体がいることで、新しい生息地を広げることが出来る新天地開拓のためや、違う川の個体群と交じることで、遺伝的な多様性を保つ役割も果たしていると言われています。
また、海では、地球の磁場を使って大まかな位置を把握する地磁気センサーを持っています。
サケの鼻の周辺には、マグネタイト(磁鉄鉱)という微細な磁性体を含む細胞があることがオレゴン州立大学などの研究で示唆されており、これがコンパスの役割を果たしているようです。
なぜ海に行くのか
では、なぜ海に行くのかというと、川に比べて圧倒的に餌が豊富であり、身体を急速に大きくすることが出来るからです。サケ科の魚が陸封型(一生を淡水で過ごす)になるためには、稚魚の時期に「淡水に留まる力」が必要ですが、シロザケの稚魚は、孵化して浮上するとすぐに海へ向かう性質(降海性)が非常に強く、淡水に留まって成長する能力がほとんどないらしく、また、稚魚の間(数週間)で海水に適応できる体(スモルト化)に変化してしていくそうです。
シロザケは、「安全だけどエサが少ない川」を捨て、「危険だけどエサが無限にある海」に全振りの人生(魚生)を選んだ、サケ界きってのギャンブラーであり、合理主義者なのかも知れません。笑
なぜ“死ぬのに戻るのか”
多くのサケは、産卵後に死んでしまいます。
理由としては、エネルギーをすべて繁殖に投入し、消化器官自体も退化してしまうそうです。消化器官が退化するので、基本的にエサなどは食べることはないようです。
小さい頃に、海にいるサケは、エサに食いつくからルアーなどで獲るけど、川に上るとエサにくいつかないから、モリで刺したり、ひっかけ針で獲るんだと聞いたことがありましたが、そんな理由があったのか…と合点がいきました。(ちなみに、川を遡上しているサケを獲ることは禁止されていますので、絶対に獲らないでくださいね)
進化的には、「生き延びる」ことよりも「確実に子孫を残す」方が重要なんでしょうね。












